毎週のように競馬を楽しんでいるもののなかなか勝てない。実際に自分の回収率を計算してみると、かなりマイナスが大きいことに気づき、一般的に回収率はどの程度が平均なのかを知りたくなる。そんな方も多いかと思います。
競馬の馬券における回収率は約75%。100%を超える方はめったにいないものです。もちろん大穴を1度当てればしばらくは回収率も100%を超えるでしょう。しかし長期的に見ると回収率は75%あたりに収束します。
その理由や仕組み、そして回収率を上げるための方法などをまとめて紹介していきましょう。
競馬初心者が知るべき基礎知識・賭け方・当たりやすい馬券を徹底解説
回収率と控除率
馬券の回収率を知るには、JRAが定める「控除率」を理解する必要があります。さらに馬券のオッズのつけ方も知っておくと、より理解しやすくなります。まずは簡単に競馬のオッズの決定方法を紹介しておきましょう。
競馬のオッズを決めているのは、馬券を購入しているファンです。競馬は基本的にファンが賭けた金額を、的中したファンで山分けするギャンブルです。非常に簡単な例でオッズの決まり方を紹介しましょう。
A,B,C,Dの4頭が出走する競馬のレースがあるとします。投票は1人100円、単勝のみで10人が投票したとしましょう。
出走馬 | 賭けた人数 | オッズ |
A | 4人 | 2.5倍 |
B | 3人 | 3.3倍 |
C | 2人 | 5.0倍 |
D | 1人 | 10.0倍 |
このレースでAが勝った場合、馬券の的中者は4人。この4人で賭けられた総額1,000円を均等に山分けしますので、1人250円の払い戻しとなります。100円賭けて250円の払い戻しですからオッズは2.5倍となります。他の馬に関しても同じ計算でオッズが算出できます。
ちなみにAが勝った場合、Aにかけていた方の回収率は、250(円)÷100(円)×100で計算でき、250%ということになります。B,C,Dに賭けた方の回収率は当然0%です。賭けた10人の平均回収率を計算するとちょうど100%になります。
この競馬というギャンブルの基本的な形を踏まえたうえで、実際の競馬の回収率の平均について解説していきましょう。
回収率の平均は75%前後
競馬による回収率の平均値は75%になります。これは想像でも予想でもなく現実的にこの数値に収まります。
さらに細かく書くのであれば、70~80%の間で収まります。上の簡単な競馬の例では平均回収率は100%でした。しかし実際の競馬では100%に至りません。ここに存在しているのが「控除率」という数字となります。
ちなみにこちらのサイトでは回収率が100%をゆうに超える競馬予想サイトのみをランキング化して紹介しているので気になった方は参考にしてみてください!
当たる競馬予想サイトランキング
JRAの定める控除率
※出典:日本中央競馬会(JRA)HP「馬券のルール」
「控除率」とは、ギャンブルにおける「手数料」です。つまり、JRAの主催するレースで馬券を購入するには、この手数料が必要ということになります。
しかし、多くの方は馬券購入の際に、手数料を支払った記憶はないでしょう。その理由は手数料が別途かかるものではなく、普段購入している馬券代の中に含まれているからです。
競馬の基本は賭けられたお金を的中者で山分けするギャンブルです。しかしそれでは主催するJRAに収益がありません。JRAに収益がないと、JRAで働く方の給与はもちろん、騎手や馬主、厩舎に支払われる賞金も支払うことができなくなります。そのために、一定の割合でJRAが手数料を徴収しJRAの収益としてます。この一定の割合が「控除率」となります。
JRAの控除率に関しては公表されており、馬券種によって異なります。
馬券種 | 控除率 |
単勝 | 20.00% |
複勝 | |
枠連 | 22.50% |
馬連 | |
ワイド | |
馬単 | 25.00% |
三連複 | |
三連単 | 27.50% |
WIN5 | 30.00% |
JRAが発売している馬券は10種類。このうち「応援馬券」は「単勝+複勝」の同時購入馬券ですから、この応援馬券を除いた9種類の馬券の控除率が上記の通りです。
つまり馬連を100円購入した時点で、22.5円は手数料としてJRAに入り、残る77.5円が払い戻しの対象となります。
例えば1つのレースの単勝馬券を買った方に限って考えてみます。的中した方の回収率はそれぞれですが、購入金額の総額の80%が誰かに払い戻されているわけですから、回収率の平均は80.00%になるということになります。
競馬ファンもいろいろな馬券を購入するかと思いますので、トータルの回収率の平均にばらつきは出ますが、平均値と考えると75%前後に収まることになります。
50~60%でも低すぎるというほどではない
競馬の回収率の平均が75%前後と考えると、50%や60%では低すぎるというイメージになります。しかし、そこまで悲観的になることはありません。この75%前後という数値も、長く続けていれば、最終的にこのあたりに収束するという値であり、誰でもこの数字をキープしているということはありません。
1か月や2か月、それこそ1~2年程度で回収率が50%だからといって馬券が下手と決まったわけではありません。
回収率を上げる方法
回収率が50%台でもさほど気にする必要はないと書きましたが、実際に賭け金の50%しか戻ってきていないのは事実です。では回収率を上げる方法はあるのでしょうか?
競馬が公平性を持つギャンブルである以上、絶対という方法論は存在しませんが、基本的な考え方は存在します。
そこでそんな回収率を上げる考え方を解説しておきましょう。
また、考え方など面倒なことは飛ばして、実際に回収率を上げる買い方を知りたいという方は、以下の記事にまとめてありますので参考にしてください。
競馬の回収率が低さが悩みの方に朗報!回収率を上げる簡単な狙い方
競馬を「ギャンブル」ではなく「投資」と考える
基本的に競馬は「ギャンブル」です。ギャンブルである以上、自分の考え方、やり方を押し通しても何ら問題はありません。ただし、そのために回収率が下がる可能性は十分にあります。
競馬をギャンブルとしてとらえている方は、「一攫千金」を夢見ている方が多いかと思います。
「馬券で1,000円、2,000円勝って何が楽しいの? 1,000円欲しいなら土日競馬するよりバイトした方が間違いないでしょ?」
これが競馬をギャンブルと考えている方の基本的な思考ではないでしょうか?ギャンブルである以上、1日働いた程度では手にできない金額、10万円、100万円といった高配当を目指す傾向にあります。
とはいえ、こういった大穴馬券は簡単に的中できるものではありません。的中率が低くなれば、当然回収率も下がっていくということになります。
回収率を上げることだけを考えるのであれば、競馬を「投資」と考えてみましょう。投資とは少ない利益を積み重ねていくことがほとんどで、少しずつでもプラスを出していこうという考え方です。
競馬を投資と考えれば、まずは的中させること、そしてできるだけ効率よく的中させることが目的となりますので、必然的に回収率も高くなる傾向にあります。
はずれ馬券の購入を減らす
では、競馬を投資と考えた場合、どのような思考で競馬を予想するのがベストかを考えてみましょう。これは非常に簡単で、何よりはずれ馬券を購入しないのが重要なポイントとなります。
はずれ馬券は回収率を著しく下げる要因にしかならず、購入することで自然と回収率が下がってしまいます。ではどうすればはずれ馬券が減らせるのか?これも簡単な理屈になります。
まずは的中しそうなレースのみを購入すること。圧倒的に強そうな馬がいるレース、上位2頭の実力が抜けているレースなど、馬券予想としての楽しみが少ないレースほど、的中する可能性が高いレースになります。
続いて当たりそうな馬券を購入することがポイントです。同じ100円で馬券を1点購入した場合、どの馬券を購入すると当たる可能性が高いのかを考えてみましょう。当然組み合わせの少ない馬券ほどその可能性は高まります。そうなると自然に馬券は複勝や単勝、ワイドといった馬券に絞られてきます。
そして最後に購入点数を減らすことです。馬券は何点買おうが的中するのは基本的に1点のみです。はずれ馬券を減らしたいなら、同一券種はできるだけ少ない点数で買うべきです。とはいえ三連単や馬単などは1点で仕留めるのが非常に難しい馬券。この点からも複勝や単勝、ワイドが推奨されるということになります。
プロの予想家の回収率
※出典:netkeiba「ウマい馬券」
テレビ番組や専門誌などで活躍するプロの予想家は、どの程度の回収率になっているのか気になるかもしれません。そこで参考資料として、大手競馬情報サイト「netkeiba」内のコンテンツ、「ウマい馬券」で予想を公開している予想家の回収率をご紹介しましょう。
「ウマい馬券」予想家回収率TOP3 2021年1月1日~11月25日までのJRA予想成績 | ||
予想家 | 回収率 | 収支 |
メシ馬 | 148% | +602,810円 |
阪木秀雄 | 121% | +132,910円 |
馬場虎太郎 | 120% | +121,670円 |
※参照:netkiba「ウマい馬券」データより。2021年1月1日~11月25日までのJRA予想成績
ウマい馬券にはいわゆる馬券予想を中心にお仕事をしている、著名な方が集まっています。その中のランキングと平均回収率が上記の通り。平均に関しては、予想家ごとに予想しているレース数も賭ける金額も違うので一概に言えませんが、80%台が中心で、100%を超える方は1割に満たない結果となっています。
これを高いと見るか、低いと見るかには個人差があると思いますが、たとえプロでも回収率100%は難しいということは間違いないといえるでしょう。
軍資金と回収率の関係性
時折耳にするのが、「ギャンブルは金のあるやつが強い」という論調です。しかしこの理論は正解とは言えません。確かに軍資金が潤沢にあれば、自由に予想ができますし、たまには大きな配当を手にすることもあるでしょう。
しかしそれと回収率は直結しません。回収率はあくまでも「率」ですので、軍資金が潤沢にあっても数値は変わりません。ただし、回収率の1%にあたる金額の大小はあります。同じ回収率110%でも、賭け金の合計が10万円ならプラスは1万円です。しかし、賭け金が1,000万円であればプラスは100万円となります。
軍資金が多い方が、収支の金額のケタが大きくなり派手に見えるだけで、回収率には影響はないということになります。
軍資金の話題となったので、ついでに「馬券収支だけで生活できるか?」という夢のような話もしておきましょう。結論から言えば生活は可能です。ただし条件があります。
その条件が以下の通り。
- 長い目で見て最低でも回収率101%を実現できること
- 最低でも年間3億円程度の軍資金が用意できること
仮に1年間で101%の回収率とした場合、3億円投資できれば年間300万円のプラスが出ます。これなら生活はできるでしょう。ただしあまり贅沢はできません。毎月100万円の小遣いを手にするような生活を夢見ているのであれば、必要な軍資金は12億円。これだけ用意できる方なら可能でしょう。
つまり、馬券のみで生活するのはそれだけ困難なことということ。手元に12億円あったら、わざわざ馬券でチマチマ増やそうという話にはならないはずです。
まとめ
- 回収率の平均値は75%前後
- 馬券代の中にはJRAが定める控除率が存在するため回収率100%にするのは難しい
- プロの予想家でも回収率100%超えは1割以下
- 軍資金が豊富でも回収率に影響はない
- 馬券のみで生活していくのは非現実的
今回はJRAに限定して話を展開しましたが、地方競馬においても控除率は存在します。地方競馬の場合、競馬場ごとに控除率が決められていますが、概ねJRA程度の控除率と考えて大きく間違ってはいません。
この控除率があるため、回収率が100%を超えるのは非常に難しく、競馬予想のプロにとっても簡単な数字ではありません。
回収率を高めたいのであれば、単勝や複勝、ワイドなどといった、控除率のわりに的中させやすい馬券を中心に、できるだけ買い目を絞って予想するようにしましょう。