競馬予想の世界には「プロ」として、競馬予想を仕事にしている方たちがいます。こうしたプロの方たちはどの程度の回収率なのか?誰でもがんばれば競馬予想のプロになれるのか?こういった疑問を持っている方も多いかと思います。
いわゆる競馬のプロと呼ばれている方たちの回収率は、およそ110%といわれています。回収率の平均値は75%。そこから考えればかなり高い数値ですが、110%と聞けば「そのくらいなら目指せるかも」という方も多いのではないでしょうか。
この記事ではいわゆる競馬のプロの方がどのように馬券を買っているのか、馬券で勝っているのに、予想を販売したり、メディアに出るのはなぜなのか?など、競馬のプロに対する疑問を解消していきます。
さらに競馬予想のプロとなるために必要な要素などもまとめていますので、この要素を満たせるかどうか、自分も競馬予想のプロになれるかどうかを検討してみましょう。
競馬予想のプロ、つまり夢の馬券生活が送れるかどうか。それはこの記事で紹介する要素を満たせるかどうかにかかっています。
実際のプロの回収率
実際に競馬の予想を生活をしている方の例として、大手競馬情報サイト「netkeiba」内のコンテンツ、「ウマい馬券」で予想を提供している方たちの回収率を見ていきましょう。
2021年12月7日現在の中央競馬【年間回収率ランキング】が以下の通りです。
順位 | 予想家 | 予想スタイル | 回収率 |
1位 | メシ馬 | 総合派 | 150% |
2位 | 馬場虎太郎 | 馬場派 | 117% |
3位 | MATSUMO | 総合派 | 116% |
4位 | 阪木秀雄 | 調教派 | 115% |
5位 | のれん | 総合派 | 114% |
6位 | 永野める | 総合派 | 111% |
7位 | 前田一太 | 総合派 | 110% |
8位 | 速風駿 | 総合派 | 107% |
9位 | キムラヨウヘイ | 総合派 | 104% |
10位 | マジマジ | 総合派 | 103% |
年間回収率TOP10までが回収率100%オーバー、つまりプラス収支を達成しています。さらに上位3名に関してより詳しく見ていきましょう。
【回収率150%】メシ馬
直近の的中例 | |||
日付 | レース | 予想買い目 | 的中 |
12月5日 | チャンピオンズC | 三連複 54点 投資 10,000円 |
⑥-⑪-⑬ 500円 払い戻し 88,250円 |
祖父が馬主だった関係で、幼いころから競馬に親しんでいたというメシ馬氏。予想家としてデビューし、すぐに雑誌連載、著書出版といきなり結果を出しています。
予想スタイルはまさに正統派といった予想。難しい理論やデータは必要とせず、シンプルな予想で結果を残しています。
【回収率117%】馬場虎太郎
直近の的中例 | |||
日付 | レース | 予想買い目 | 的中 |
12月4日 | 葉牡丹賞 | 三連複 28点 投資 2,800円 |
①-②-③ 100円 払い戻し 7,620円 |
得意としているのは「トラックバイアス分析」。JRAが発表する馬場状態よりもさらに詳しく馬場状態を分析・分類し、その馬場状態で不利を受けて負けた人気の盲点を見つけ出すスタイルです。
すでに著書も出版しているほどトラックバイアスの理論は確立されており、多くのファンに注目されている予想家になります。
上で紹介した葉牡丹賞も、7番人気の人気薄を本命に据え見事に的中しています。
【回収率116%】MATSUMO
直近の的中例 | |||
日付 | レース | 予想買い目 | 的中 |
12月5日 | 阪神1R 2歳未勝利戦 |
馬単 1点 投資 10,000円 |
⑥→⑤ 10,000円 払い戻し 47,000円 |
新進気鋭の予想家MATSUMO氏は、調教動画や過去レース動画から、馬の走法をチェック。独自の視点で走法から得意な条件を導き出し勝負するというオリジナルな予想が魅力です。
買い目を抑えた少点数勝負で結果を出すスタイルで、非常に信頼できる予想家といえるでしょう。
競馬予想のプロの回収率は110%前後
ここまで「ウマい馬券」で活躍している予想家を紹介してきましたが、一般的に競馬のプロと呼ばれる方の回収率は110%程度といわれています。つまり長期間にわたり110%という回収率をキープできるのであれば、誰でも競馬のプロとして活躍できるチャンスがあるということになります。
実際にプロの回収率が110%と聞いて、「意外と低いな」と思った方もいるのではないでしょうか?その理由や事情などについて、少し解説していきたいと思います。
一般的な競馬ファンの回収率は平均75%程度
そもそも競馬の回収率は、平均すると75%程度に落ち着きます。これはJRA、および地方競馬主催団体が、「控除率」を設定している以上、仕方がない部分となります。
このあたりの詳しいことに関しては、以下の記事で詳しく解説していますのでここでは詳細は省きますが、この75%という数字を覚えておきましょう。
すべての馬券購入者の回収率を平均すると約75%になります。これはどのレースも同じです。その中で110%をマークする、それ以上の数字をマークするのは至難の業です。しかもプロとして活動する以上、このレベルを長期間キープしなければいけないわけで、決して低い数字でも簡単な数字でもないことが分かるかと思います。
1レースに大金を賭けるのは難しい
仮に回収率が101%でも、プラスが出ていれば馬券だけでも生活ができる。そう考えることも可能です。例えば年間5億円を軍資金として用意できるのであれば、回収率101%で年収500万円です。
しかし、年間5億円を競馬に注ぎ込める方がどれだけいるでしょう?回収率101%も約束されているものではありません。そもそも5億円手元にあるのであれば、500万円のためにリスクを冒す必要がありません。
年間の馬券代が5000万円。かつ回収率110%で年収500万円。これでもリスキーなイメージです。つまり110%という数字は、少なくともこのラインに到達していなければ、プロの予想家としては厳しいという数字になります。
さらにいうと、競馬というギャンブルの性質上、大金をつぎ込めばその分オッズが下がるということになります。オッズが下がるということは、リスクだけが高まるということ。そのためプロの予想家は大金を1レースに注ぎ込むことなく、かつ勝ち続ける必要があるということになります。
基本的にJRA主催のレースに投資
上の章で解説した続きとなりますが、多くの場合馬券生活者の方はJRAを中心に馬券を購入しています。もちろん地方競馬に手を出さないというわけではありませんが、中心としているのはJRAです。
理由は単純に1レースの売上金額が大きいから。ちなみに2021年2月に佐賀競馬で行われたJpnⅢ佐賀記念では、8億9302万9600円を売り上げ、この重賞レースの売り上げレコードを達成しました。一方12月5日に中山競馬場で行われた10R市川S(3勝クラス)の売り上げは9億9310万5700円。
つまり佐賀競馬の中でも年間で最大級のレースの売り上げレコードは、JRAの条件特別の売り上げと変わらないということになります。これだけ地方競馬と中央競馬では売り上げが違うということ。
中央競馬で勝てないと、競馬のプロとしては厳しいということになります。
馬券生活は不安定である
馬券生活者になるには、まず回収率110%キープが最低条件という話をしてきました。実際にこの数値をキープできるのであれば、馬券生活をすることは不可能ではありません。
まずは競馬の収支で3000万円の軍資金を用意できれば、回収率110%で年収300万円に。これなら生活することは可能でしょう。
しかし、仮に回収率110%を達成しているプロの方でも、馬券生活者をしていないのが現実です。そのあたりを解説していきましょう。
不調が続けば生活が破綻してしまうリスクがある
サラリーマンであれば、収入は会社からの給与ということになります。言い方を変えれば会社を辞めなければ、辞めさせられるようなことをしなければ収入は確保されます。
しかし、馬券生活者にはこういった収入の補償が一切ありません。どこかで予想が不調に陥って回収率100%をキープできなくなれば、お金は減っていく一方です。
もし病気やけがなどで、馬券が買えない生活になってしまえばそれまで。生活が破綻してしまいます。こういった不安から、たとえ高い回収率キープできる方も、多くの方は馬券だけでは生活していないといわれています。
メディア出演やソフト販売で確実な収入を目指す方が多い
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では馬券だけではないとすると、何で生活をしているのか。それが自分の予想を販売したり、書籍を出版したり、メディアに出演するなどと言った方法です。
これらの活動も、サラリーマンほど安定しているというわけではありませんが、馬券の結果だけを頼りにするよりははるかに安定することになります。
そのために必要になるのが、「自分の予想スタンスを確立すること」でしょう。いくら的中する予想といっても、「なんとなく」で当て続けていれば、誰もその予想に耳を貸さなくなります。予想にしっかりとした根拠があり、それを論理的に説明できてはじめて売り物になります。
しっかりとした回収率を残すと同時に、ほかの人が聞いても納得するような理論を確立できるようにする必要があります。
実際の馬券収支と軍資金
馬券生活の難しさと、必要な回収率はここまで解説した通りです。とはいえこれは一般論。馬券だけで生活ができるほど、豪快な馬券ライフを送っている方もいます。
過去に報道で発覚したケース、またブログで評判になった方のケースを見ていきましょう。
有名競馬予想AI「松風」管理人のケース
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2018年9月に、個人投資家でありAI開発も行っている松風氏が、競馬予想AIを2年がかりで完成させ、ブログでその収支報告を始めました。スタートの軍資金は50万円。この軍資金でポルシェ購入を目指すのが目的です。
毎週のように安定して勝ち続けた松風氏のAI。2020年の収支は、購入金額が約25億円、払い戻し総額が約29億円で、+4億円というとんでもない収支を叩き出します。回収率は約115%。ポルシェどころか位東京都内でマンションも購入できるだけのプラスとなりましたが、ブログの更新はここで終了。伝説のブログとして語り継がれています。
経費算入裁判のケース
かつて馬券で大きな収入を得た男性が、多額の納税を求められ、ハズレ馬券を経費として認めるように裁判を起こした話題がニュースになったことがあります。実はハズレ馬券を経費に算入できるかどうかの裁判は、これまでにも何度か行われています。その収支を簡単にまとめてみましょう。
★ケースA
2007~2009年の3年間で28.7億円分馬券を購入し、3年間で約1億4000万円の利益を出した。
→回収率約105%
★ケースB
2005~2010年の6年間で72.7億円分馬券を購入し、約5.7億円の利益を出した。
→回収率約108%
これらのケースも回収率は110%を超えていません。
年間で億を超える軍資金を用意できるのであれば、馬券生活も可能なのかもしれません。
まとめ
馬券予想のプロになる条件は以下の通りといえます。
- 回収率110%以上を長期間キープできる
- 他の方が聞いて納得できるような予想スタンスを確立する
- 出版やメディア出演などを積極的に行える
仮に110%以上の回収率には自信があっても、ほかの部分で自信がない方は軍資金を用意するしかありません。もちろん最初から何千万円、何億円といった軍資金は必要ありませんが、松風氏がAIで達成した数値を見る限り、50~100万円ほどは用意したいところです。
競馬のプロが自分の予想を公開する、予想理論を論じるのは、それだけしっかりとした予想理論ができ上がっていることの証明でもあります。
まずは自分なりの予想理論をしっかりと構築し、その理論で回収率100%を目指して馬券予想に挑みましょう。